■ ストーリー ■
夏になっても蝉の鳴かない世界。
その理由に心当たりのある主人公サヤカが恋人のセイジに初めて語る、
夏の思い出。それは蝉の恩返しの物語。
高校一年の夏、サヤカ自身の引っ越しで離ればなれになった、
初恋の相手ナツミ。四年後に再会した彼はサヤカの知るナツミとは違っていた。
なぜナツミはこのタイミングで現れたのか。
大学に入ってから仲良くなり、なんとなく付き合うようになった
セイジとのこともあり、サヤカの心は揺れる。
自らを蝉の化身だと言うナツミを、不審に思いながらも冷たくできないサヤカ。
その夏から九年、今でもそばにいるセイジにも打ち明けることができなかったことが、ひとつだけある。
ナツミが伝えたかったこと、
最後に残していった「大事な思い出」とは―――
|